Amazon協力金問題の背景と問題点

2週間ぶりの投稿です。

 

MBAでの学習をほぼ終え、帰国手続きを進めている最中です。

 

今日はAmazon協力金問題から問題点の構図を見てみたいと思います。

 

Eコマースの業界を席巻しているAmazon。

 

その他も個人間の支払機能を含むアプリを開発しようとしたり、ホールフーズを買収し、データの活用を試みたり、最早オンラインブックストアから始まったとはとても思えない企業にこれまでのところ成長しています。昨年の物流事業への参画には驚きました。クラウド、ストリーミング(動画配信)サービスにもタッチしています。

 

売上額も下のグラフを見てください。

 

最早20兆円目前まで来てます。かつこの成長率。どれくらいこの後伸びるのだろうという感じです。(大事なことは勿論最終的な利益ですが)

 

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Amazon. (n.d.). Net sales revenue of Amazon from 2004 to 2017 (in billion U.S. dollars). In Statista - The Statistics Portal. Retrieved May 6, 2018, from https://www-statista-com.proxy.wm.edu/statistics/266282/annual-net-revenue-of-amazoncom/.

 

この急成長の背景にあるのは圧倒的な人材だと思います。WSJにも出ていましたが、全米でのMBA生のハンティングが凄い、最早他の大手金融等をしのぐ規模でMBA生をリクルートしているようです。(といっても離職率高く、就業環境としては?という噂も聞きましたが)

 

こういった基本的な情報を頭に入れた上で踏み込んでいきたいと思います。

 

この問題を考える時に必要になことが、Amazonのビジネスモデル、それとサプライヤーとの力関係だと思います。

 

まずはビジネスモデル。

 

Amazonはオンラインビジネスで戦っていますが、彼らの強みはそのプラットフォーム、価格設定、配送サービスだと思います。そこに他社との差別化という強みはほぼ存在しません。つまり扱っている商品はだいたいの物がComoditize(一般化)された商品。他のオンライン販売業者に対抗するために、値段で勝負するという点を打ち出してしまったのが問題点なのではないでしょうか?個人的には、消耗戦へ勝手に突っ込んでいった点がそもそもの誤りだったと思います。

 

売上目標の達成の必要性⇒規模、配送サービス、金額含めたトータルで競合他社と勝負⇒規模等で差が無くなってくる⇒金額勝負の必要性⇒自身の利益を削りたくない、かつ他にアイデアが無い⇒サプライヤーより強い販売パワーを持っているAmazon⇒協力会社に請求

 

基本的にはこの流れだと思います。本来であれば何らかの形で売り上げを伸ばすために他のアイデアを思いつくべきだったのですが、今回はそうなりませんでした。これは自社でコンテンツ、商品をうまく作れない企業が陥ってしまう誤りではないでしょうか?結局自身で”価値”のあるもの、サービスを提供出来ないとこういう風になると思います。

 

そしてサプライヤーが自社での販路を持っていない、あるいは持っていたとしてもアマゾンが大口の顧客で無視出来ない。そこにアマゾンが依頼をかけた。

 

図式としてはこんな感じだと思います。

 

そしてこの図式を見ると、今回のように行政が規制をかけないと同じようなことが起きてしまう。一見すると大企業が単純に搾取しているだけのように思われるかもしれませんが、背景の図式としてはこのような流れがあると思います。

 

また、これは何もAmazonに限った問題ではないと思います。そしてEコマースに限った問題でもない。一般化された商品やサービスを取り扱う業界で取り分け大きなプラットフォーム、もしくは彼ら自身のエコシステム(ビジネス的な意味での生態系)を持っている企業はこういうことを大なり小なりやってしまうリスクがあります。

 

実はAmazon自身もこういう問題に気付いている、そこでコンテンツを作る事業、あるいは根幹となるテクノロジーサービスに投資をして、価値を生み出せる根源的なところで力を握ろうとしている。それが動画配信サービスにおける番組作成であったり、Amazonクラウドだったり、そういうところに現れていると考えます。

 

この記事を読んでくださった方の中には大企業で働く方もいらっしゃるかと思いますが、私から言えることは、このような”禁じ手”を使わないための戦略を管理職の方々が描いていく。ビジネスの環境を踏まえながらビジネスストラテジーを描いていくことが必要なのではないか、ということです。今回の一件はAmazonジャパンの組織の方向性を見出す人間が別の図式を描けずに協力金依頼をしてしまったという点が現れたのだと思います。